1933年からプロ活動を始めたテナーのアーネット・コブは、もともと病気がちであり、更に不運なことに交通事故のため松葉杖を使わなければならず、ヒューストンから離れることがあまりありませんでした。プレスティッジはその彼に録音の機会を積極的に与え、この時期の2年弱の間に7枚の作品を吹き込みました。この作品はレイ・ブライアント(p)、ウェン デル・マーシャル(b)、アート・テイラー(d)、更にコンガが入った編成です。このメンバー で、どんなパーティが繰り広げられていますでしょうか。
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例えばラテン色のテーマ・メロディを持った “cocktails for two”でアーネット・コブは持ち味であるソウルの味わいを発揮した好演を繰り広げていますが、バックメンバーが輝く場面がない。レイのピアノはソロの時間を与えられているけど、他の作品で聴ける溌剌さが出ていません。コブの演奏だけに集中して聴けるという評価もあるでしょうけど、コブのテナーだけが浮いているというのが、僕の感想です。パーティなんだから、みんなで盛り上らないとね。