ジャズで良く演奏されるスタンダードは、ミュージカル映画の挿入曲がホトンドです。 しかし一方でジャズ・マンのオリジナル作品が人気を呼び、多くの他のミュージュシャン によて演奏されていき、スタンダードと言っても差し支えない曲がありますよね。トランペットのケニー・ドーハムが作った“lotus blossom”もそうした曲の一つでして、ドー ハムの日本での超人気盤である本作品でこの曲が披露されています。浅学のため、ここでの演奏が初演かどうかは知りませんがね。トミ・フラ、チェンバース、テイラーという豪華リズム・セクションと吹き込まれてこの作品、ドーハムの曲があと2曲演奏されていますよ。
ワン・ホーンというのは、一人の奏者をじっくり聴くのに一番似合う形ですね。ここではトミ・フラのウキウキするバッキングと 湧き上がってくるメロディが、ドーハムのペットを見事に引き立てていますね。そのドー ハム、決してハデなプレーではないのですが、歌心一つで心に染みる演奏を聴かせてくれています。この歌心の核は、悲しみの表現なのではないでしょうか。明るく豪快に演奏されることが多い“mack the knife”でも、一見明るく振舞っているドーハムのペットの響きの奥には、人の悲しさを理解出きる彼の優しさを感じますね。この辺りが日本人に評価され ている、ジャズ喫茶で大人気を博した、理由なのでしょう。