1999年10月28日掲載
Dave Burrell & David Murray   Daybreak
Gazell原盤                            1989年3月録音

 前年にマレイとの絶妙に息の合ったプレイを繰り広げたデイヴ・バレル(p)、当然ながら誰でもマレイとのデュオ作品を期待していたでしょう。カナダのガゼルというレーベルにおいて、それが実現致しました。バレルのピアノによって表現の幅が広がったマレイにとってピアニストとのデュオ・レコーディングは、ジョン・ヒックス、ランディ・ ウェストンに続いて3度目のものですが、ここでのものが最もスリリングな気持で望んだのではないでしょうか。もちろん、聴く我々も同じですがね。

19991028

 唸りますよ、タイトル曲にはね。郷愁感溢れるバレル作のメロディを聴けば、彼の作曲能力の高さを改めて実感出来ますね。もちろんバレルのピアノは、細かな部分までしっかりと表現しきっています。マ レイの演奏も非常に高いレベルのものでして、彼の13年間の演奏スタイルが凝縮されて います。随所に聴かれる二人が触発される姿は、デュオというフォーマットの醍醐味を味わえます。他の3曲ではですね、フリーキーな演奏に終始しています。二人の過去の演奏スタイルの中でこれは共通している部分なのですが、ここでそれを繰り広げる意味合いに、理解しかねるものを感じました。“Qasbah rendezvous”は何か雅楽の雰囲気を持たせ たセンスのあるバレルの曲だけに、別の趣向で演奏して欲しかったです。