コルトレーンは1966年に日本で、14日間連続でコンサートを行いました。その中の公演十三日目の22日の演奏は1973年に、公演二日目の11日の演奏は1977年に発売されました。
今日取り上げる2011年発売のCDは、その二日間のコンサートをCDをまとめたものです。それだけならば私は買いませんでした。しかし、ボーナス・ディスクとして次の内容が収められていました。
7月8日に羽田空港に着いたコルトレーン一行は、翌9日に会見を行いました。その録音が、ボーナス・ディスクに収録されているのです。
午後1時から記者会見
午後2時から早稲田・慶應・立教の3大学モダン・ジャズ連盟所属学生による質疑応答
午後4日からホテルの部屋で辻本和明氏によるインタヴュー
これらは文字起こしされ、いろいろな媒体で取り上げられてきました。しかしながら、そのテープの存在は不明となっていました。
このボーナス・ディスクに収録されている会見の録音は、2005年に見つかったとのことです。
質問
あなたは、10年後20年後どのような状態になりたいですか?
コルトレーン
私は聖者になりたい。
活字で残っているコルトレーンのこの言葉は、「神がかったミステリアスな発言」として有名なものになりました。
しかしその実態は、次のようなことでした。質問者(児山紀芳氏)の英語による質問は、何を聞きたいのか要領を得ないものでした。テープを聞いた私もイライラするものですから、コルトレーンのイライラ度は相当だったと推察します。そしてコルトレーンのあの回答になりました。この流れをテープで聞くと、コルトレーンがこの質問を終わらせ、次の質問に移るためにこの回答になったのであろうと、私は推察します。
そしてその直後にはコルトレーンとアリス(と思われる)の笑い声が収録されています。コルトレーンの活発な女性との交際を知っているアリスが「何をえらそうなこと言ってんのよ」と言ってるような笑いとの、藤岡氏のコメントには、このテープを聞けば納得できるものでしょう。
(この件、異論があるのは承知しています)