2008年12月13日掲載
Tommy Flanagan           Thelonica
Enja原盤                         1982年11月録音

こ の作品が世に出た時分には、渋谷ジャロさんでいろんな作品を購入していた時期です。ジャズを聴き始めて2年目でしたので、貪欲に様々な作品を買っておりました。しかしアルバイト生活の学生の身。買えるのは中古LPや、OJCなどの安いものが中心でした。国内盤でも、廉価盤が主。購入対象は黄金時代のジャズに、ロフト系が中心でした。ジャロさんでそんな作品を買い漁っていた時期に、新譜コーナーにこの作品がLPとCDで並んでいたことでしょう。ムラーツとテイラーとのピアノ・トリオですので、結構売れたのではと思います。

 僕がCDで購入したのは、それから4年が経過してからのこと。トミフラ自作のタイトル曲の他は、モンクの曲が並んでおります。

20081213

 モンクの曲はそのメロディと共に、モンクの演奏の独特の間が、ジャズ・ファンの脳裏に焼き付いているもの。従ってモンクの曲を演奏する場合、聴く方はあの間が無いことに、ある種の違和感を覚えることになります。数少ない例外曲は、マイルスの名演が強く印象に残る『round about midnight』でしょう。

 さて、フラナガンの演奏。当然にして、あの間は無し。モンクのメロディに美を加えて演奏しており、素敵なモンク集に仕上げております。フラナガンの器用さとタッチの美しさ、さらには素敵な人間性が、この作品を成功させた要因でしょう。モンクの曲に、モンクの独特の間が無いことなど、全く気にならずに聴き終えました。