2001年3月10日掲載
Barney Wilen      La Note Bleue
IDA原盤           1986年11月録音

 この作品が渋谷ジャロの新譜コーナーに登場した時は、ジャケから単に軽い乗りの作品かと思っていた。演奏者の名前を見て、死刑台のエレベーターのサックス、まだ生きていたのかと思ったくらいでしたね。10枚ほどジャロに入荷したこの作品は、往年の彼を懐かしむ人によって、あっという間に売りきれ。それから半年ほど、入荷しては売り切れを繰り返していましたね。評判が評判を呼んでいった作品でした。そんなに人気があるならばと買った僕ですが、今もって愛聴盤であり続けているのと同時に、この後続けて発表された彼の作品を買いつづける契機になった作品です。

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 恐らくは“軽い乗りの”企画だったのかも知れませんね、この盤は。有名曲を中心に14曲、3分弱が中心の演奏時間で、ライトな感覚で演奏されています。並のテナー奏者ならオシャレなだけで終わり、それを求める層に買われてあっという間に忘れられる作品になったでしょう。しかしバルネは違った。軽い雰囲気の中での彼のサックスは、様々な表情を見せ、聴く者を裕福な気持にさせる奥深さがある。まぁ、だからこそ輸入盤屋で、売れ続けたのでしょうけどね。「besame mucho」と「round'bout midnight」は2つのバージョンが収録されているが、どちらも違う表情を見せている。ベテランお見事の1枚と言えると共に、49歳のバルネの遊び心と真剣さに感心する1枚です。