ここでリッチー・バイラーク(p)を取り上げるのは、初めて。簡単にその経歴を。1947年にブルックリンに生まれた彼は6歳の時からクラシック・ピアノを始め、その後15年間イタリアの名先生についてレッスンを受けました。マイルスやコルトレーンをきっかけにジャズに興味を持ち始め、レニー・トリスターノのもとで半年学び、1966年から2年間バークリーで楽理を学びました。その後様々なミュージュシャンと共演を重ね、1970年代半ばには電子ピアノを演奏し始めたとか。世間での彼への評価は、ポスト・ビル・エヴァンスってことらしいですね。
さて今日取り上げるこの作品は、ジャロの新譜売残り安売りコーナーでのゲット品で、George Mraz(b),George Huebner(violin)という変則トリオで、10曲中8曲のタイトルの頭にAroundがついている、少し恐そうな雰囲気が漂っているものです。
マレーシアの道路の交差点にラウンド・アバウトというのがあります。円形の構造物の周りを右旋回で自動車が周り、行きたい方向の道へ左折していく仕組みです。ただでさえ交通ルール未発達で、しかもバイクが縦横無尽に走り周って、運転が危険なペナン。このラウンド・アバウトは、一層気合を入れなければいけない場所なんです。イギリスの植民地だったマレーシアだったので、向うではラウンド・アバウトっていうのは、一般的なんでしょうね。
この作品のタイトルも、ラウンド・アバウト。息を止めて緊張高まる場面を期待したのですが、クラシックの名曲を素材にした流暢な演奏で、少し期待ハズレでしたね。