1999年7月14日掲載
Bobo Stenson      War Orphans
ECM原盤           1997年5月録音

 スウェーデン生まれのピアニストのボブ・ステンソンは1964年にプロ活動を開始しました。その後、1973年にECMにリーダー作品を残したステンソンは、サイドマンとしてECMにすっと関わってきました。ECMの作品を脇で支えてきた彼のトリオ・アルバムなのですが、オーネット・コールマンの曲やメンバーのオリジナルが中心に構成されています。さてどんな自己主張を行なっているでしょうか。

19990714

 どんな曲を演奏をしても、ここで聴けるステンソンの色に完全に染まり、他のミュージュシャンの演奏を思い浮かべることは出来ないであろう。その彼の色とは、メロディの輪郭を可能な限りぼかし、気がつけば彼のアドリブに移り、そしてまたテーマに戻っていく。それはジャケットのような静かな砂浜、しかしいつ荒れてもおかしくないエネルギーを常に保っているようである。ECMの独特な雰囲気のある面を代表している感じである。この世界が自分の感性に触れる人にとっては、このアルバ ムは手放せない存在になり、そうではない僕には60分間、部屋に彼の波音を響かせ通り過ぎて行くのである。