Dizzy Reece
Asia Minor

録音日 1962年3月13日(ジャケ記載データ)
Summertime が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ブルー・ノートのトランペッターと言えばディジー・リースとルイ・スミスと、かなり意気込んで「今日の1枚」でこの作品を取上げたのは、2004年3月22日のことでした。ビクターがこの作品を再発したのは俺様のお陰だとの書込みを致してしまいましたが、ほんの少しはその自負があります。

 さてこの作品の感想をどう書いたかと言えば、先の意気込に力を注いだのか、勘違いありの核心に触れないものでした。今日は「Summertime」を中心に聴いてみます。

pst12

つまみ食い後

 この作品は私的大名盤なのです。何度聴いても素晴らしい。

 1曲目の「The Shadow Of Khan」はアップテンポのマイナー曲で、出だしメロディのペインのバリトンに導かれ、リースのソロへ熱気繋がり、ペインのバリトンの迫真さ、ファレルの枯れ方、ハンク・ジョーンズのピアノに酔う内容。
 これ1曲あれば、愛される作品となるのですが、本盤では序曲に過ぎず、続くのはスペインの曲「The Story Of Love」では、嘆きのリースのトランペットに良いしれます。聴いたことありそうな曲なのですが、他の作品での演奏が見つからない曲です。恐らくはイギリスを中心に欧州で活動していたリースが持ってきた曲なのでしょう。
 3曲目はリース作の「Yamask」はミディアムテンポのブルース。ここではバリトンの男気とリースの女性の悲しみが表現されている様子。イントロでのファレルのフルートも印象的なもので、この曲でLPでのA面が終了。
 B面1曲目はペイン作の「Spiritus Parkus」、アップテンポのブルースで印象的なメロディ、A面同様に各メンバーの勢いある演奏に圧倒されます。
 続くのは「Sumertime」、ピアノに導かれてリースがテーマを吹いています。このメロディを小細工せず正面から演奏しており、続くペインは夏の憂いある出来事を思い返しているかのような演奏、ファレルはテナーで徐々に熱を帯びていく演奏、ハンクのピアノは早口でひと夏の想い出を語っているかの演奏、再びリースに戻り今度は強い口調でメロディを吹き、素晴らしい演奏を終えてます。
 最後の曲はリース作の「Ackmet」で、西アジアの雰囲気を感じるメロディが印象的なミディアム・テンポのマイナー曲です。ピアノ,バリトン,フルート,そしてリースと、其々この印象深いメロディから想像される絵を長尺演奏で披露しており、チャーリー・パーシップの手で叩いているかのようなドラム演奏で総仕上げし、再びテーマを演奏し、この曲を、この名盤を終えています。

(掲示板掲載 2016年6月16日から3日間)