録音日 1956年10月16日(ジャケ記載データ)
Autumn In New York が収録されている作品をつまみ食い
つまみ食い前
「今日の1枚」では時折、酷評してしまう作品があります。本当に酷い内容のもの,たまたまその時の私の感覚・気分に合わなかった作品,そして私の理解度が作品内容に追いつかなかった演奏というのが、その理由でしょう。振り返ってそんな感想を読んでみると、もっと書き方があるだろうと、自分の人間性の浅さに恥ずかしくなります。
2008年11月12日にこのフィニアスさんの作品を取上げた際には、その酷評でありました。「散漫というか、集中力がないといか、だらだら時間が過ぎていくだけの演奏」「期待の大きさに押し潰されてしまったのかな」と、素敵なピアニストに対して失礼なコメントを書いておりました。
改めて「Autumn In New York」を中心に本作品を聴いてみます。
つまみ食い後
ピアノの壮美な響きの中に漂うジャズ心が楽しめる1枚です。9年近く前の感想とは大違いのものです。
フィニアスさんのピアノの特徴について、国内盤解説の佐藤氏は、「トゥー・ハンド・ピアノ、すなわち両手を完全に使ったスタイルを特色としており、その独特なユニゾン・ライン」と評しております。恐らく私は刺激的な特徴が感じられずに、「その独特なユニゾン・ライン」に感じ入ることが出来なかったのでしょう。「たまたまその時の私の感覚・気分に合わなかった作品」であり、「私の理解度が作品内容に追いつかなかった演奏」だったのでしょう。
この作品はソロ,トリオ,そしてカルテットでの演奏が収められていますが、ソロの4曲が聴きどころと言えるでしょう。「Autumn In New York」もその1曲で、このバラッドを優美な気持ちで聴かせてくれています。
(掲示板掲載 2017年4月18日から3日間)