Terje Gewelt
Hope

録音日 2002年10月13日(ジャケ記載データ)

Body And Soul が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ジャケが印象的な本作を「今日の1枚」で取り上げたのは、2008年11月16日のことでした。リーダーはベース奏者のテリエ・ゲウェルトで、今もコンスタントに活動しています。このテリエとデュオを組んでいるのは、今や大御所となってきたピアニストのクリスチャン・ジェイコブであります。この二人のデュオは他にも2枚あるようですが、私は聴いておりません。

 10年前に「心底からの感情表現に溢れている」と評した本作品、「Body And Soul」はどんなものでしょうか。

pbs27

つまみ食い後

 テリエさんはResonantというレーベルから作品を発表しており、本作もこのレーベルからのものです。Resonantは反響や共鳴という意味ですが、本作を聴くとベースとピアノが一つの景色を描写していく中で共に響き合っており、レーベル名に相応しい演奏と言えます。「The Water Is Wide」はスコットランドを起源とする民謡であり、蜜月から試練にさらされる愛を描いた曲です。それをこの二人は、愛の存在の美しさを語り合うかのように演奏を進めて行き、素晴らしいものにしております。

 一方「Body And Soul」では、どうにもならぬ愛の行方に押し潰されそうな女性の心境を、ベースとピアノでキャンパスに描いて行くような演奏です。それが進むに連れて、その愛の哀しさがあるからこそ、人間として成長できるのだと描いているように感じました。

 これらの演奏は、テリエさんとヤコブスさんが真剣に向き合って演奏したからこそのものと言えます。

(掲示板掲載 2018年7月15日から3日間)