Arne Domnerus & Bernt Rosengren
Face to Face

録音日 1999年5月27日(ジャケ記載データ)

Body And Soul が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 スウェーデンのベテラン二人のコ・リーダー作に若きピアニストが参加した作品です。ベテランがアルネ・ドムネラス(as,cl)と62歳ベルント・ローゼングレン(ts,fl)、そこに33歳のヤン・ラングレン(p)が加わっての演奏です。

 2000年5月8日に「今日の1枚」で取り上げた際に、ベテラン二人は「さすがの貫禄のある演奏。でも、とし、若手には「同じ国の大先輩の演奏の前に、ラングレンは彼独特の節回しを捨てた」との感想を書きました。

 今読んでみれば、この感想には注意が必要です。ベテラン二人には「さすがの貫禄のある演奏」とは、年をとったスカスカの演奏と感じたのかもしれません。そのあとに「楽しさが薄い」としていますからね。若手への「彼独特の節回しを捨てた」とは、おじいさん二人に何とか付き合ってあげている姿かもしれません。

 そんなことを頭に置きながら、「Body And Soul」を中心にこの作品を聴いてみます。

bs25

つまみ食い後

 スカスカしていたのは、私の耳でありました。恐らくこの二人は、中間派を好きで聴いてプロになり、大きな注目を浴びた存在ではなかったが、自分の信じる音楽を誠実に演奏したのでしょう。そんな二人がメロディを大切にして、自分の音楽人生を振り返っている演奏です。そこには大切な歌心が、大きな存在として聴けます。またラングレンは、そんな尊敬する大先輩二人に気持ちよく吹いていただくために、考え抜いた演奏をしています。

 別にこの作品は注目されたものではありませんが、偶然手にした私の中で、生き続けるものでしょう。地味だけど素敵な作品です。

 そんな中での「Body And Soul」は、ベルントさんのフルートとアルネのクラリネットが霧雨に中に埋れた裏通りのような雰囲気を出しており、小さなパブからそんな通りを見ながら、恋の終わりを悟っているかのような、味わいのある演奏になっておりました。

(掲示板掲載 2018年5月24日から3日間)