Kathleen Willison
Close To You

録音日 2003年10月19日(ジャケ記載データ)
Falling In Love With Love が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 「一生懸命歌ってはいるが、伝わるもの少なし」などと、2005年1月30日にこのキャスリーンさんの作品を取上げた際に、酷評してしまいました。しかも「美人とはいえないが」とまで書きました。今こうしてジャケを見れば、お綺麗な方ですよね。

 さてこの作品の特徴は、バックがテナー・サックスとピアノの二人だけであること。こういう編成に至った理由はいろいろ想像できますが、重要なのは結果。どんな良さを出していて、それが「Falling In Love With Love」ではどのように活きているのか、そこを中心に聴いてみます。

 またこの作品は、Bashoというイギリスのレーベルからの発売です。相撲の仕切りのロゴが印象的でした。これを買った時には、少しは評判になっていたレーベルです。
 この作品はこのレーベルから8枚目の作品になるのですが、私はすぐに消滅する、世に中に良くあるパターンのレーベルかと思っていました。しかしながら今もしっかりと活動しているレーベルです。
 ネットで見たところ51枚目の作品がレーベル最新作のようで、決して焦らずにマイペースで活動しているレーベルのようです。

pfl19

つまみ食い後

 テナー・サックスはTim Whiteheadで、この作品のプロデューサーであります。

 女性歌手にテナー・サックスにピアノとの吹き込みですので、三位一体の魅力が出なければ、色物作品で終わってしまいます。この作品は、サックスのティムと歌のキャスリーンの優しさと憂いの会話にピアノがしっかりと支えているものです。
 ティムのリーダー作品と考えれば、12年前に酷評してしまったキャスリーンの歌も、トリオの一角を成す控えめながら優しく憂いのある歌声に聴こえます。

 そんな風に聴いていると「Falling In Love With Love」は、ピアノが春の訪れを表現し、恋に踏み込み始めた女性をキャスリーンがおり、そして恋愛ごとの甘いも酸っぱいも知っているサックスでティムが相手している感じです。

 この「つまみ食い」企画は私の幾つかの思いで始めましたが、その1つが、「今日の1枚」で取上げた後に眠ったままの作品に、久しぶりに触れる機会を作ることでした。それがこのように新たな発見になることは、嬉しいことです。

(掲示板掲載 2016年10月23日から3日間)