Karin Krog
Gershwin with Karin Krog

録音日 1973年12月19日(ジャケ記載データ)
Summertime が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 私が持っているこの作品は、1990年年代にかつてあった日本フォノグラムという会社から、「CDで聴く、ジャズ・ヴォーカルへの招待状」というシリーズで発売されたものです。その際にはオリジナル未収録の3曲が追加収録され、さらにその録音年月日はオリジナル録音の辺りとされています。「Summertime」も追加収録なのですが、録音日はオリジナル録音日と致しました。

 この盤を「今日の1枚」で取上げたのは、2005年6月2日のことでした。今読み返すと、自分でも理解が難しい感想を書いてしまいました。恐らくは、「30代半ばとなり、歌に余裕がある」「バックとの相性が抜群」ということを、言いたかったのでしょう。さて、どんな「Summertime」なのでしょうか。

pst25

つまみ食い後

 1曲目「Who Cares」では、ピアノと二人で始まります。気だるい雰囲気で歌い出すクローグは、毎晩のように煙草と酒に浸りながらジャズ・クラブで歌うおばさん歌手の様子を感じますが、すぐに可愛らしさや凛としたした姿が代わる代わる浮かび上がってきます。この豊かな表現力は、素晴らしい歌唱力に支えれたものなのでしょう。
 出だしにセクシーさが溢れる「How Long Has This Been Going On?」も、幾つになっても恋に落ちたら少女のような気持ちに一瞬だけはなる姿を、上手く表現しきっております。
 こんな風に素敵な様子を全ての曲に書きたいのですが、それはこの2曲だけにしときましょう。そんなクローグを支えているバックのテナー・サックス入りカルテットは、聞いたことない人ばかりです。恐らくは、ノルウェーからは出なかった、地元の名手なのでしょう。どのような演奏が、クローグの歌唱にあっているのかを熟知した演奏となっています。

 さて「Summertime」は追加3曲に入っておりますが、ピアノと二人でのものです。スタジオに響くクローグの歌声が、ストレートに聴く者に届いてきます。悲しげなのか、憂いに満ちているのか、クローグの歌声に聴き終えて終わる1曲になっております。

(掲示板掲載 2016年11月24日から3日間)