Tyree Glenn
Let's Have a Ball

録音日 1958年1月1日(年はネットからの情報、月日は決め付け
Like Someone In Love が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 2005年4月1日に本作を「今日の1枚」で取り上げました。その際の私の感想は、「オーディオの前で真剣に聴くジャズとは、対角線上にあるジャズ」として、楽しいジャズ作品だとしました。批判的なことは書いていない、気に入ったとも書いていない、そんな感想でした。そんなことを書いてから13年、その間に多少は人生経験を積んだかなと思う私は、今回はどう感じるのか楽しみです。

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つまみ食い後

 「ジャズを知識で聴くのはやめろ!」と、寺島氏が封入解説で書いております。「知識でジャズを聴く人は、初めて聴くジャズ作品には、それまでに貯えた知識を総動員して分析しようとする」とも、寺島氏は書いております。

 「今日の1枚」を始めるにあたって意識したことは、私の感想文であることでした。そして自分が楽しんで「今日の1枚」を続けていくとのことでした。自分は評論家ではない、その辺のジャズ好きの1人であるということが基本でした。その意味では、寺島氏の先のお言葉に近い気持ちで、「今日の1枚」を始めたのでした。

 しかし、「今日の1枚」連載が続くに従って、何やら評論家っぽく書き始める自分に気がつきました。ジャズサイトでジャズ作品について書いている一般人の方々の中で、私が最も嫌っていたタイプの人間に私がなっていく姿に気づき、ドキッとした覚えがあります。


 横道に入った話はここまで。しかめっ面した男同士のジャズ魂のぶつけ合いは、それは素晴らしいものです。
 でもこの作品のジャケにあるように、お姉様方に囲まれて一杯飲んでいるときに、このタイリー・グレンさんの作品が楽しみを加えてくれる素敵な作品になります。暖かい音色で余裕がある人間にしか吹けないメロディの優しさ、こんな感じで「Like Someone In Love」は演奏されています。

 私がお姉様方に囲まれて、この作品が似合うような状況がないことが問題なのだと、訳のわからないことを呟いたときに、この作品を聴き終えました。

(掲示板掲載 2018年8月24日から3日間)