Renato Sellani
un pianoforte per due innamorati

録音日 1963年5月2日(ジャケ記載データ)
Like Someone In Love が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 「今日の1枚」を何となく始めてから20年近く経ちますが、ネット上で提供されるサービスの進歩に感心してきた20年とも言えます。このアルバムのタイトルは「恋人二人のためのピアノ」であることなど、いとも簡単に分かりました。

 このセラーニさんの恋人同士に贈ったピノトリオ作品を「今日の1枚」で取り上げたのは、2000年8月9日のことでした。「ガーランドを少しトロクしたよう」「ソニ・クラを少しトロク」と失礼なことを述べながらも、「聴き進むに連れて、このトロク感じた部分が独特の間、セラーニの大きな個性に変って聴けるようになりました」としておりました。

 「Like Someone In Love」を中心に聴きながら、セラーニさんの個性をもう少し深く探ってみます。

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つまみ食い後

 セラーニさんの魅力は、センスの良さ、趣味の良さが演奏に表れていることです。特別に注目を浴びた方ではありませんが、この作品を聴けばセンスと趣味の良いイタリア男であることが分かります。ただし有名ジャズマンとはならなかったのは、個性的とは言い難い点からなのでしょう。でも、「Like Someone In Love」「Cheek To Cheek」「Autumn Leaves」と続けて演奏していく様子は、聴けば聴いたで誰もが吸い込まれるものです。

 音楽畑から姿を消したかと思ったセラーニさんなのですが、調べてみましたら彼は2014年に88歳で亡くなっておりますが、舞台芸術の作曲家として活動していたとのことです。趣味とセンスの良さが活かせる現場は、ジャズではなかったようです。

(掲示板掲載 2018年2月18日から3日間)