Pinky Winters
The Shadow Of Your Smile

録音日 1983年2月27日(ジャケ記載データ)

ソラ ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ペナン、香港、そして横浜と、私は19年間に渡り海のすぐそばに住んでいいますが、砂浜のそばに住んだことはありません。このジャケのような光景が身近にある暮らし、一度は味わいたいものです。

 茜さす日の昏れ行けば術をなみ千重に嘆きて恋ひつつぞをる

 このジャケ写のような光景を茜と呼ぶとソラ資料に解説があり、万葉集の一首が紹介されています。ネットで意味を調べたところ、「日が暮れて行く頃は、どうしようもなくて、何度もため息をついて、あなたのことを恋しく思っているのです」との意味であり、また「昏れ」ではなく「暮れ」と書くとのことです。

 このピンキー・ウィンターズさんの作品は「今日の1枚」では、2006年7月24日に取り上げました。私は、50歳をすぎたピンキーさんの円熟味に感想を述べておりました。今回のつまみ食いでは、ジャケの雰囲気と、そして作者不明の短歌にある恋心を感じさせるものを、探したいと思います。

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つまみ食い後

 ジョー・マンデル集の本作を聴いていると、マンデルの曲には辛さと甘さが同居しているような、不思議な感じを覚えます。その意味では、ピンキーの歌とレヴィのピアノにも共通点を感じます。ジャケの光景が似合う場面と不似合いな場面の連続を感じながら、本作を楽しみました。

 1978年の映画「アガサ 愛の失踪事件」という映画で使われたという「Close Enough For Love」での歌とピアノには、そんな不思議さを感じながら聴き入りました。

 最後に余談ですが、この曲に続いては歌抜きで「Theme From The M*A*S*H」が披露されています。朝鮮戦争下での米軍移動病院に配属された軍医たちのブラック・コメディ映画で、私には印象深い映画でした。この映画で、こんな洒落た曲が使われていたのかと思いながら、ドナルド・サザーランドの演技を再び見たくなりました。


(掲示板掲載 2020年6月24日から3日間)



参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)