Pat Metheny
Day Trip

録音日 2005年10月19日(ジャケ記載データ)

ソラ ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 みなとみらい周辺を歩いていますと、五人ほどで街中を描いているグループを、よく見かけます。また、みなとみらい駅にあるサブウェイギャラリーMでは、そんなグループによる水彩画の展示がよく行われています。絵心ある方々が人に見せられると思ったのを展示していますので、「お上手ですね」と言いたくなる作品もありますが、その多くは個性に乏しいものです。もっと自分の主張を織り込めと思うのですが、アマチュアの楽しみなのですから、受付の方に笑顔で挨拶してギャラリーを出るようにしています。

 さて本作のジャケですが、Josh Georgeという方のイラストであります。ネットで調べますとこの方は、コミックブックアートを中心に手掛けているイラストレイターとのことです。そのイラストを見ますと、人物と建物を特定の色で印象的に特徴付けるものです。その意味では、本作のジャケはJosh Georgeにとって、お得意のものなのでしょう。赤を印象的に配して、古い街の迫力と都会の忙しさを表現しています。

 ビルの間に見える空ですが、赤色が効果的です。ビルへの光の当たり方からすると、夕焼けが南東側の空にも影響しているのだと思います。

 2009年6月1日にメセニーさんの本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、曲ごとの表現のうまさに、私は感心しておりました。その中で「Snova」という曲を気に入ったけれど、この単語の意味が分からないと書きました。それから11年、グーグルの翻訳機能は進化を重ねており、この言葉はボスニア語で夢との意味だと分かりました。

 今回のつまみ食いでは、夕焼けの雰囲気を感じる曲に出会いたいと思います。

1jsky05

つまみ食い後

 メセニーさんの作品の中では、落ち着いた気分で楽しめる作品です。ネットでの評によれば即興演奏の部分が多い作品とのことですが、即興演奏の刺激性はありながらも、安らぎを感じる演奏です。それはメセニーさんの演奏姿勢と共に、 Antonio Sanchez のドラムの強弱の付け方の妙によるものでしょう。

 9分間の演奏の「When We Are Free」での哀愁の表現は、これから夕刻に向かう都会の華やかさの裏側を表現しているようで、私の中ではジャケのイラストのイメージの演奏と心に響きました。

 この作品にはジャケの他に、5枚のイラストがあります。小さな街中の交差点の風景、2枚綴りで田舎町のガソリンスタンド、大都市間を結ぶ鉄道がのどかな田舎町を走る様子、そして牧歌的な光景です。次に本作をつまみ食いする機会があれば、他のイラストをイメージする曲を探りたいです。


(掲示板掲載 2020年2月24日から3日間)



参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)