山中千尋
Living Without Friday

録音日 2001年8月13日(ジャケ記載データ)

ソラ ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ジャケはAya Ohtaという方のイラストです。ネットで検索してみますと太田彩さんというイラストレイターがヒットしましたが、そのページにある彼女の作品は本ジャケのイメージとは違うものなので、太田彩さんが本ジャケの作者とは断言できるまでの情報収集とはなりませんでした。

 青空が見事な写真というのは、フィルムの時代からフィルターやプリント等に工夫を凝らしてきたものです。デジタル時代になれば「見事な青空」を現像段階で容易に作れるようになりましたが、加工し過ぎのものには閉口します。

 本作はイラストですので、作者思いのままに青空を表現できます。本作では青空の引き立て役として、白い鳥と緑の広がりを使っております。

 さて本作を「今日の1枚」で取り上げたのは、2002年4月4日のことでした。今それを読み返してみますと、自分で書いたのに言いたいことが掴みかねております。今回は新たな気持ちで、青空イラスト・ジャケ作品を聴いてみます。

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つまみ食い後

 微かな記憶ですが、以前にBSで彼女の演奏に触れた記憶があります。繰り出すリズムの力強さと、豊かな解釈力が印象に残りました。

 本作品では「繰り出すリズムの力強さ」はその通りの演奏ですが、「豊かな解釈力」は控えめに感じました。表現過多にならないように、彼女が自らをプロデュースしたのかなと思いました。

 この作品以降彼女は10年近くの間、毎年新作を発表しておりました。いつかはそんな演奏に触れることもあるかなと思いながら、それはディスクユニオン中古半額セールの時だろうと考え、そうするとこのご時世ですからそんなセールはないかなと、考えが横に外れながらも、それなりに本作を楽しみました。

 さて20年近く前の「今日の1枚」で書いた「篭った高音」は、当時のペナンの部屋のライブ過ぎる環境からのものだったのでしょう。ジャケの通りの青空の日々が多いペナンで、今の横浜と同様の環境で本作に接していたら、違った感想になっていたジャズです。



(掲示板掲載 2020年12月12日から3日間)



参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)