録音日 2003年4月4日(ジャケ記載データ)
ソラ ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
市電、チンチン電車、路面電車、トラム、横浜から姿を消したのは、50年近く前のことです。急速な自動車台数の拡大で、用無し、となってしまいました。
しかしながら路面電車の価値を見損なわずにいた国々は多く、私が長年お世話になった香港もそんな地域です。そしてヨーロッパも同様であり、イタリアのミラノには現在17系統、全長115キロの路線があるようです。
本作のジャケ写に映る市電は、ミラノの中心から北に5キロほどにある Bignami に向かう路線です。すでに夜、街灯の反射や地面の様子からすると、霧の夜空なのでしょう。
2005年10月2日に本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、「イェスパーのベースは、さほど個性的なものではないが、しっかりとした演奏」「ステファノのピアノは、内省的耽美派の典型であり、数多いるこの手のピアニストの中から突き抜ける個性は感じられない」と、本作に味噌をつけることを書いてしましました。批判的なことを書いていた香港駐在時代ゆえ、ご容赦を。
今回のつまみ食いでは、何やら悲しげな空気感のジャケのような演奏を、感じたいものです。
つまみ食い後
霧雨のミラノの街には、喜怒哀楽が静かに漂っているのでしょう。その中の哀愁が、本作に散りばめられたスタンダードの演奏の中に感じました。そしてタイトル曲、哀愁が喜びや楽しみに変わることを願っているかの演奏です。タイトル曲名をグーグル翻訳すれば、「あなたは私に戻ってきます」との意味です。まさにこの通りの演奏、私は15年経って、この作品の良さがわかりました。
(掲示板掲載 2020年8月21日から3日間)
参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)