録音日 1963年4月30日(ジャケ記載データ)
ソラ ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
一歩先を見ていくことの重要性は、いろんな分野で功を成した方々のお言葉に出てくるものです。私も野球選手やロックスターの「一歩先」発言に印象深いものがあります。そんな言葉に影響されて「一歩先を見ること」を意識していたつもりの未だに功を成していない私ですが、「三歩進んで 二歩下がる」も良いのではないかと、言い訳しております。
さてマクリーンさん、新たな道を進み始めたマクリーンさんの本作を「今日の1枚」で2006年5月26日で取り上げた際には、アルト・サックス、トロンボーン、そしてヴィブラフォンの音色の重なり合いに感心しながらも、「考え過ぎのマクリーン」などと私は述べておりました。
ジャケは橋かと思う構造物にいる決意を固めたマクリーンさん、そしてそこには層積雲が風でその規則正しい並びに変化が起きたような空が広がっています。今回のつまみ食いでは、雲の変化のような瞬間を感じたいと思います。
つまみ食い後
マクリーン作のA面1曲目の「Saturday And Sunday」が、この作品の存在感を示している曲でしょう。油井先生曰く「メロディー・フォー・メロネエにも比すべき凝ったテーマ」の曲ですが、この「凝り方」にマクリーンの意気込みが伝わってくるものです。そして各位のソロは、このテーマを頭の中で膨らませ、思い切りぶつけている演奏、エネルギーが溢れるものです。「考え過ぎのマクリーン」、この「考え過ぎ」が実に貴重なもの、これがエネルギーとなっています。
私が持っている盤は1987年の国内発売CDなのですが、この時期にはCD化による追加曲、別テイクをオリジナルと並べて収録しておりました。つまりは続けて同じ曲が演奏されるというものです。最後にそっと添えておけば良いものなのですが、続けるのが1980年台の流儀でした。
私が持っているCDでは、「Saturday And Sunday」も別テイクが続けて収録されていました。別テイクはオリジナルよりペースを早めて、攻撃性を増したものです。マクリーンの苦悩、そしてメンバーの憂悶が流れの僅かな違いを、両テイクを続けて聴いて、楽しみました。
(掲示板掲載 2020年4月15日から3日間)
参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)