Gerry Mulligan
Night Lights

録音日 1963年9月1日(年月はジャケ記載データ、日は決め打ち)

ソラ ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 アルバム名の意味は常夜灯、ジャケはイラストで、夜空の下に光あふれる大都会です。都会の夜は常に常夜灯、光が途切れることがない、そんなジャケとアルバム名です。

 大物マリガンのこの大名盤なのですが、大人気盤と呼んだ方がよいのかと思います。この作品を愛聴している方は世界中にいるのだろうなと、本作を聴くたびに感じることです。

 この愛される作品を「今日の1枚」で取り上げたのは、1999年2月28日のことでした。その際には触れなかったのですが、私が持っている1984年に国内発売されたCDには、タイトル曲の別テイクが収録されています。ご存知のようにマリガン作の優しさに包み込まれるこの曲は、一曲目に収録されており、そこではマリガンはピアノを演奏しています。その録音から2年後の1965年の10月のセッションで、この「Night Lights」が演奏され、そこではマリガンはクラリネットを吹いておりました。

 今回のつまみ食いでは、オリジナルの「常夜灯」とCD追加収録の「常夜灯」の聴き比べをしてみます。

1jsky30

つまみ食い後

 灯には苦労しない夜中の街を歩きながら、優しかった想い出を振り返っている姿が頭に浮かぶ、両方の「Night Lights」の演奏でした。

 オリジナルのは、間の置き方が絶妙なマリガンのピアノが喜びを浮かべているようであり、アート・ファーマーとボブ・ブルックマイヤーの演奏もそんな展開にピッタリのものです。

 CD追加曲のは、マリガンのクラリネットから切なさが浮かび上がり、これまた素敵なものでした。

 私の今日の気分はピアノのマリガンかなと感じながら、こんな聴き方も良いもんだとうなずきながら、マリガンのバリトン冴える他の5曲と共に、本作を聴き終えました。



(掲示板掲載 2020年12月24日から3日間)



参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)