録音日 1997年12月22日(ジャケ記載データ)
ソラ ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
このジャケ写を見て、「雑居時代」というTVドラマを思い出しました。主役の石立鉄男扮するカメラマン助手がセッティングした女性グラビアの撮影現場で、川崎敬三扮する著名山岳写真家がシャターを押すというシーンが印象的なドラマでした。山岳写真というのは金にならないものとの印象を、私は強く持ちました。
それから結構な時を経て、私はカメラ好きになったのですが、スタジオでの女性撮影に興味を持った時期はありましたが、山岳写真に興味を持ったことはありませんでした。
さて本題のジョルジュ・ロベルト、或いはジョージ・ロバーツの本作品のジャケは典型的な山岳写真です。Joan Robert なる方が撮影したものですが、この現場にたどり着くまでが、大変なことなのでしょう。そこには険しい雪山の頂上と、見事な青空が広がっています。この青空はデジタル補正されているのでしょうが、頂上を見事に引き立てています。
本作品はジョージ・ロバーツとフィル・ウッズの共演作品であり、「今日の1枚」では2006年5月14日に取り上げました。「普通に良い作品といったとこでしょう。別に、人に推薦したくなるような内容ではありません」などと、私は冷たい感想を述べていました。この時代に勢い良かったアルト・サックス奏者、そして重鎮のアルト・サックス奏者の共演作品ですので、ジャケ写のように決まった瞬間があるはずです。その瞬間を楽しみにして、今回はつまみ食いします。
つまみ食い後
心の若さをぶつけるウッズ、それを演奏の奥深さを求めるロバートが受け止め、朗らかに楽しい演奏が繰り広げられていまして、聴き所が多い作品です。
そんな演奏に似合うジャケットは、避暑地の別荘で、緑広がる中で、二人が微笑んでいるようなものでしょう。険しい雪山、たとえ登頂に成功した瞬間であっても、天気の急変に心尖らせたり、下山の怖さに神経を尖らせているものでしょう。
ジャケ写と演奏の中身の不釣り合いで、私は14年前に少し冷たい感想となったのでしょう。脳内ジャケに変えて本作を聴けば、本作はお勧め作品となります。
(掲示板掲載 2020年8月12日から3日間)
参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)