録音日 1999年5月8日(ジャケ記載データ)
ソラ ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
あくまで私が見聞きした範囲ですが、このCDは中古盤市場で新品価格以上の値段をつけた最初ものでした。確か6千円ほどだったと記憶しています。またマイナー・レーベルの中のマイナーなレーベルの常として再プレス無しが普通でしたが、何とこのCDは再プレスされたのでした。そしてこれを書きながら知ったことですが、2003年には澤野からも発売されていたようです。
さて本作はバプティストさんの最初の作品であり、Wikipediaによれば彼は今に至るまで計15枚の作品を発表し続けています。人気者バプティストさんの人気作品なのですが、2001年1月16日に「今日の1枚」で取り上げた際には私は、「最近の欧州ジャズ・ピアノの流れに沿ったものですが、個性が感じられなかった」とか「このまま消える可能性大の方」などと酷評をかましてしまいました。
欧州にはつきものの曇り空の日々、そんな中の憂鬱感ジャケにはある本作品、20年ぶりに聴くことになります。
つまみ食い後
三人の演奏の確かさ、録音の良さ、曲の解釈での悲しさと優しさ、そして切れ味の良さ、内容が良いから人気が高い作品であることを、私は20年かけてようやく理解できました。
この「つまみ食い」企画を通して、過去の私の「今日の1枚」での感想の恥ずかしさと向き合ってきましたが、今回のそれは本当に強いものでした。いくら、その時の感想を書くのが「今日の1枚」、とはいえです。
という反省をしながら、その時々で響き方が違うからこそ面白く、評論家や格付屋でもない私は、「I'm a fool to want you」での苦味が曇り空によく合うなと思いながら、あくまでその時の感想を素直に書くことを改めて心に決めた、今回のつまみ食いでした。
(掲示板掲載 2020年10月21日から3日間)
参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)