録音日 1996年12月7日(ジャケ記載データ)
ソラ ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
ヴィーナスのジャケは独自製作ではなく、外部のデザイン会社からの購入が多いような気がします。本作のジャケの関しては、Magnum Photos Inc. からの購入のようです。
明け方まで一緒に過ごしながら、それでもまだ互いを求めているカップル、車の前には海、その先には日が登り始めています。日の出か入りかはそこだけ見れば確かではありませんが、全体から私は日の出と決めつけました。
なんであんなにあの人に惚れ込んでいたのであろう、これは誰もが痛惜したことがある想いでしょう。ジャケの二人も、数年後にはそんな思いになったのではと思いながら、今日はやたらに妄想だらけの自分に苦笑いです。
しかしアルバム名は「True Ballads」、こんな考えは捨てなければいけません。
本作を「今日の1枚」で取り上げたには、2006年4月20日のことでした。香港2度目の駐在の4年間の私の感想は、辛口ばかりでした。そして本作も、ここに引用するのは恥ずかしい感想を書き散らしておりました。
ワン・ホーンでのバラッド集、盛り上がっている男女の瞬間を感じる演奏を、聴きたいと思います。
つまみ食い後
シェップの演奏、その音色への感想は、14年前に「今日の1枚」で書いたものと同じものです。この録音の時には59歳のシェップさんですが、YouTubeには「2017 Archie Shepp Art songs & spirituals à Jazz à la Villette arte」との題での番組があり、パリでの80歳のシェップさんの演奏が味わえます。こちらは年齢の割には頑張るシェップさんがいます。
そこでふとこの「True Ballads」での演奏を再び聴いたのですが、これはこれで狙った演奏なのではと思いました。そう考えると、「The Thrill Is Gone」から「Violets For Your Furs」までの8曲が、一つの組曲のように思えてきました。そこには遥か昔の燃え上がった束の間の恋を思い返し、そんな瞬間を共にできたかつての恋の相手への感謝の気持ちがあるように感じました。
今もこの作品が私にとって良いものとは言えませんが、シェップさんの人生への振り返りを感じ、私もそのような思いになる時が来るのかと願いながら、今回のつまみ食いを終えました。
(掲示板掲載 2020年4月24日から3日間)
参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)