Randy Weston
Jazz A La bohemia

録音日 1956年10月25日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 よーく見ると、状況が分かりにくいジャケ写です。ランディさんが寄りかかっている建物は実物なのかも、怪しく思えてきます。一見普通で、でも怪しく不思議な点の一つがイスに座っている兄ちゃんです。屋外用の椅子は、折り畳みのための金具が外に剥き出しなので、廉価な品なのでしょsう。それに座っている兄ちゃんも、実に廉価な身なりです。ポーズを決めているランディさんをスケッチしているようにも見えますが、絵心を全く感じさせない兄ちゃんです。

 悪口はここまでとして、1999年4月28日に「今日の1枚」で本作品を取り上げた際に私は、「取っ付き易いモンク風の演奏という感じ」として、色々と感想を述べています。

 アーメッド・アブダルマリクとアル・ドレアレスという渋い脇役を従えて、バリトン・サックスのセシル・ペインとのライブ演奏、久しぶりに楽しみます。

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つまみ食い後

 「Once In A While」はトミー・ドーシー楽団のために書かれた曲ですが、1950年の映画「アイル・ゲット・バイ」に挿入され、そしてジャズ・メッセンジャーズのバードランドでのブラウニーの演奏でジャズファンの記憶に残っている曲です。ディジー・リースのBNでの演奏も、有名なところでしょう。

 このランディさんの作品にも、この曲が収録されています。落ち着いた雰囲気の中で、ランディさんのピアノとセシル・ペインのバリトン・サックスの語り合いが、誠に心に染みるものです。

 誰にでも「たまには」、違う自分の人生を考えることがあるものでしょう。この曲を聴きながらジャケを見れば、そこに写るランディさんの表情は、そんな気持ちなのかも知れません。さすがに椅子の兄ちゃんにはそれを感じませんが、それでも何かを考えている様子。無邪気そうに見える子供も、そんな考えを持つ時期も遠くないことでしょう。


(掲示板掲載 2020年3月15日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)