Marcus Roberts
Deep In The Shed

録音日 1989年8月9日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 このジャケ、しかしすごい部屋です。豪邸という言葉がピッタリです。外国の方に自分はマンションに住んでますと言ってはダメだ!、との話をよく聞きますが、マンションとはこのような部屋がある豪邸をさすのですからね。マーカスさんが寄りかかっているピアノと、そこにあるピアノ椅子の存在感は、実に薄いものです。

 さて本作品ですが、2008年12月10日に「今日の1枚」で取り上げました。その際には私は、この作品を最大限に貶す感想を書いています。「新主流派の香り薄めた上に、ディキシーの味わいを隠し味にした内容。実に分かりにくい表現ですが、内容は掴みどころがない」「CD時代の作品にしては45分と短い時間で終わったことにが、唯一の幸い」とのものです。

 今回のつまみ食いでは、どのような感想になるのでしょうか。

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つまみ食い後

 日が沈み、部屋には絶妙に配置された照明の中で、生活には十分とは言えないが、得難い暗さと微かな明るさの中にいるような気分を、本作品は醸し出しています。ウィキペディアにある本作品の紹介文に「The album features Roberts playing chords on his left hand and "somewhat dark improvisations that burst into fireworks less often than you'd expect" with his right hand」とのものがあります。マーカスの右手からは「somewhat dark」があるとの文章は、うまく言い得ています。

 11年前の私は豪邸の雰囲気に全く馴染めなかっただけですが、今回のつまみ食いでは少しは近づけた気がします。


(掲示板掲載 2019年11月15日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)