Karrin Allyson
In Blue

録音日 2002年3月19日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 「in blue」には「憂鬱な」とか「(恐怖で)青ざめた」などの意味があるのかと調べましたが、青色に関する使い方ばかりでした。

 本作のジャケにあるソファーはイス資料にはありませんでしたが、いかにも欧州の有名作品といった感じです。ジャケを開きますとこのソファーは3人掛けと分かり、高級感も伝わってきます。私は13年前に大塚家具でいろんなソファーを見ましたが、このソファーは100万円近い値段でしょう。

 そのソファーに座っているアリソンさんは、少しお怒りなのか、機嫌が悪いのか、そんな表情です。この表情はまさに「in blue」と思った次第です。

 2002年11月5日に本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、彼女の前作の「コルトレーンのバラッド」集と比較し、厳しい感想を書きました。今日は本作だけに意識を向けて、ジャケットのアリソンさんの表情の真意を探りたいと思います。

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つまみ食い後

 考えてみたら大作の後の作品は、意気込みが空回りすることがある中で、アリソンさんは落ち着いたスロー・ナンバー集を素敵に作ったものです。空回りしたのは私の感想でした。

 スローな気分を支えてくれるバック陣も加わり、そして選曲のセンスも決まり、NYタイムズが「singer with a feline touch and impeccable intonation」と絶賛したアリソンさんの歌声の魅力が活きた作品になっています。

 半分の6曲名に、「Blue」とのスペルが入っています。その中のジョニ・ミッチェル作の「Blue Motel Room」が、今回のつまみ食いで私の心に止まりました。「I hope you'll be thinking of me, because I'll be thinking of you」の歌詞の響き方が、Danny Embrey のギターと共に、ブルーな雰囲気で流れていきます。

 表ジャケ以外の彼女の写真をみますと、シャイな彼女がそこにいます。そんなアリソンさんの魅力が本作に感じられ、実に良いものでした。


(掲示板掲載 2020年3月21日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)