CoJazz plus Volume2

録音日 1997年6月11日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ジャケ写は、Radio Studio, Geneva でのものです。このスタジオについての情報はネット上で見つかりませんでしたが、名前を変えて今でも使われているのでしょう。

 恐らくはレコーディングを終えたメンバー四人が、確信を得たかの表情で椅子に座っているのが、印象的なジャケです。やはり一仕事終えたら、椅子に座りながら暫しの休憩なのでしょう。

 2000年12月27日に本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、リーダー格のアンディ・シェラーさんが、いつものテナー・サックスではなくピアノをここでは弾いていることに、私は戸惑いながらの感想を書いておりました。

 今日は素直な気持ちで、かつては話題になったという本作を聴いてみます。

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つまみ食い後

 見た目には緩やかな流れの川でも、入ってみれば水量の多さを甘く見ていたことが分かることがあります。本作品での演奏も、一聴の美世界かと思いきや、所々で演奏の力強さに圧倒されます。スルメ盤の要素たっぷりの作品と言えるでしょう。

 アンディさん作の「Waltz For Eric」は、ジュネーブ郊外の住宅街にある小さな公園の緑が、日差しの変化でその輝きが変わっていく様子を表現しているような曲であり、演奏です。でもその底には、自然と人間の力強さがあることを、感じさせる演奏です。

 このEricとはEric Peterさんのことです。この方は「新・世界ジャズ人名辞典」や「ヨーロッパのジャズディスク1800」に掲載されていないのですが、ネットには情報がありました。スイスのベーシストで、1935年生まれ、1996年に亡くなっています。いくつかの参加した奏者が掲載されていますが、私にとってはテテ・モントリューとの活動がその内容が接したことがあるものです。

 コジャズの4名にとっては、スイスで、そして欧州で活動した仲間なのでしょう。ジャケで椅子に座る4名を見ますと、前年に亡くなった大事な友人の思い出に浸っているようです。


(掲示板掲載 2020年3月18日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)