Georges Arvanitas
3.a.m

録音日 1958年9月10日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 目覚めて再び眠りに入れずに、午前3時頃に集合住宅群の自室から他の建物を見ますと、何室かに明かりが灯っています。そうすると、あの部屋の人はこれからベッドに入るのか、それとももう起床したのかと、動かない頭を回し始めることがあります。

 そんな意味合いから考えると、午前3時というのは微妙な時間となります。一般人は深い眠りの時間と考えますが、早い時間からの仕事に起床している方もいることでしょう。

 一方でこの時間帯が、一日の活動の最後である人達も多くいるはずです。ジャズ好きに音楽を提供してくださる方々も、そんな方々なのでしょう。

 そんな時間をタイトルにした本作を「今日の1枚」で取り上げたのは、1999年10月16日のことでした。ダグ・ワトキンスとアート・テイラーの演奏を絶賛し、「この時代はまだ一般に言われているヨーロッパのハイ・センスな独特な雰囲気は、アルヴァニタスに限らず、まだ成熟していなかったのでしょう」と、私は分かったフリの感想を書いておりました。

 ベースとドラムには上から1本のマイクだけで録音に望んでいる様子のジャケの演奏を、今日はつまみ食いします。

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つまみ食い後

 何度聞いても、ドラムとベースが力強く輝くピアノ・トリオは良いもんだと、本作に唸る次第です。そしてアルヴァニタスさんのピアノは、スィング感の爽快さの中に垣間見られる悩む人間の心情の表現が、ため息が出るほど素敵なものです。

 愛すべきピアノ・トリオ、改めて実感したつまみ食いでした。


(掲示板掲載 2019年10月21日から3日間)


参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)