録音日 1956年9月12日(ジャケ記載データ)
マイク ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
それにしても大きなマイクです。そしてこのマイクは、ブロッサム・デアリーさんの歌を収めようしているのか、ピアノを収めようとしているのか、分からないものです。そして分からないと言えば、このマイクは何なのかです。これだけ特徴あるマイクですから、いつものマイク資料をめくれば、すぐにマイク名がわかるかと思ったのですが、鉄仮面の愛称で知られているアルテック639に似ているものの違うもの。マイク名調査はギブアップで終わりました。
2004年10月1日に本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、私はその歌に対して「少女系歌声が魅力的なのですが、まだ歌に固さが残っております」との感想を述べ、そのピアノには「のったりした演奏で感心できるものではありません」としました。当時の私は何故だか斜に構えたことを「今日の1枚」で書いており、それは今となれば赤面ものです。
今回のつまみ食いでは、正面から本作と向き合ってみます。
つまみ食い後
少女のような歌声が先ずは印象に残りますが、その先に待に待つ彼女の歌の魅力は、静かに千尋な感情を表現でしょう。この作品の前まではフランスで、どちらかと言えばカクテル・ピアニストとして活動していたブロッサムさんですが、そこでの経験がこの作品での歌に生きているのでしょう。またそれを見抜いたノーマン・グランツの眼力も、さすがです。またその表現の魅力があるからこそ、2009年に亡くなる直前まで歌手として活動できたのでしょう。
彼女の魅力の深さに気づいて、今回のつまみ食いを終えました。
(掲示板掲載 2019年12月18日から3日間)
参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)