録音日 1956年10月18日(ジャケ記載データ)
マイク ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
マイクの存在があるので音楽に接することが出来るわけであり、またマイクは多くのジャケットで格好良い存在であります。そんな意味でマイクの恩恵を受けてきた私ですが、音を電気信号に変換するものとの知識しかありません。この「マイク ジャケ」でつまみ食いでは、マイク資料から得た、と言いますかマイク資料で見たことを書きながら進めていきます。
マイク資料では、ダイナミックマイク・コンデンサーマイク・チューブマイク・リボンマイクの4種類に、マイクを分類しています。
ジャケットで印象に残るマイクといえば女性ヴォーカル作品、そこで使われているマイクは、「周波数レンジが広く感度が高い」(マイク資料P58)特性からコンデンサーマイクやチューブマイクであります。
そんなことを考えて「マイク ジャケ」1作目に本作を選んだのですが、マイク資料P17に本作ジャケと同じようなマイクを取り上げています。それはシュアのSH55、通称「ガイコツマイク」と呼ばれているもので、ダイナミックマイクでした。考えてみたら本作ジャケはステージで歌っているもので、そうすると扱い易さからダイナミックマイクが使われているのでした。
2004年2月11日に「今日の1枚」でバーバラ・リーさんの本作を取り上げ、その際には「暖かな歌声でしっかりと歌う歌手」「聴き込むほどに愛着が出てくる作品」と感想を述べました。またジャケではバーバラさんの目を瞑って歌う姿と共に、「ガイコツマイク」が存在感を示しています。
因みに本作はジャケとは違ってスタジオ録音ですので、そこではコンデンサーマイクかチューブマイクが使われていたと思います。
つまみ食い後
さてバーバラさんの「マイク ジャケ」作品。
「Nobody Else But Me」は目立たないスタンダードで、「♪I was a shy, demure type, Inhibited, insecure type of maid, I stayed within my little shell」と歌い始めます。まだ幼い男女が恋の存在に気づいていく様子を歌っている曲です。バーバラさんは夢見る気持ち、恋により変化していく自分への驚きを、包み込む暖かい声で歌っています。職人ジョニー・ウインドハーストのトランペットの音色とバーバラさんの歌声が絶妙に絡んでいく展開に酔いました。
この目立たない曲と同様に本作も目立たない作品です。しかしながら、一度接したら離せない1枚になることでしょう。
(掲示板掲載 2018年12月12日から3日間)
参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)