録音日 1969年5月28日(ジャケ記載データ)
Just In Time が収録されている作品をつまみ食い
つまみ食い前
ヨーロッパの作品が次々に復刻され出してから、20年近く経ちました。それまでは存在する知らない作品を、或いはレコード店のオリジナル盤コーナーに6桁の値段並ぶ作品を、多くのジャズファンに気軽に聴けるようになったのです。私もそんな一人で、この「今日の1枚」で何枚もそんな作品を取り上げてきました。
そんな復刻の中心の一つが、MPSレーベルの作品の復刻でした。そのMPSの中でも今回の「つまみ食い」のクラーク・ボラン・ビッグ・バンドの復刻は、私にとって実に嬉しいものでした。それまでビッグ・バンドは付き合い程度に有名作品を買っていた程度の私に、自分が好きになれるビッグ・バンドがあることを教えてくれたからです。
本作は「All Smles」の続編と言った内容です。2005年1月19日に「今日の1枚」で取り上げた際には続編ということからなのか、さらっとした私の感想でした。「My Favorite Things」で光っているSahib Shihab(bs)、Ake Persson(tb)のソロが魅力的な「My Haert Belongs To Daddy」とのものでした。
今日は「Just In Time」で誰の演奏が光っているのか、そこに注目しながら聴いて見ます。
つまみ食い後
斬れ味、スピード感、これがこのビッグバンドの魅力の一つなのでしょう。このことをエレガントに実感できる作品であります。
若い娘が恋について早口で喋っているかのような Derek Humble(as) のソロ、恋の経験を振り返れる余裕のある女性が淡々と語っているかのような Tony Coe(ts) のソロが聴ける「Just In Time」は、このバンドの魅力が詰まっている演奏に仕上がっています。
ちなみにウィキペディアによればデレク・ハンブルは、このバンドのツアー中にケルンで強盗にあい重傷を負ったそうです。それが完全には回復せず、1971年に41歳の若さで亡くなっています。とすると、本作の録音は重傷を負った後のもの。そんな中で元気溢れる演奏を行うのですから、ミュージシャンの底力を感じました。
(掲示板掲載 2018年6月24日から3日間)