Eric Alexander
Nightlife In Tokyo

録音日 2002年12月19日(ジャケ記載データ)

ソラ ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 一日の最後の夜空を引き立たせるには光が必要で、それは月や星と共に、街の灯りとなります。光溢れる街といえば、渋谷と新宿が代表格なのでしょう。私には渋谷は縁深い街なのですが、新宿となると縁浅い街です。このジャケのような新宿ど真ん中の夜の姿に接したのは、かなり昔のことです。

 エリック・アレキサンダーの「夜の新宿」を「今日の1枚」で取り上げたのは、2005年1月31日のことでした。この時期の私は辛口コメントだった時期で、本作について「アレキサンダーもメイバーンも気合の入っていない型通りの演奏に終始しています。アレキサンダーは全力投球派だと思ってましたが、こういう手の抜き方もするのですね」と、夜の街に逃げ出したいことを書いておりました。

 15年前に、不平不満で過ごしていた香港で本作を聴いた時には、そのように感じたのでしょう。オーディオ装置は当時のままですが、環境が大きく変わった今、本作をどのように感じるか、楽しみです。

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つまみ食い後

 滑らかさと粘りっ気が手を変え品を変え登場するエリックさんのテナーと、楽し気に攻撃を仕掛けるメイバーンさんのピアノ、そして堅実なベースとドラムの演奏が楽しめる1枚です。

 15年前の不平不満感想は、この作品全体という意味では、メリハリがないことへのものだったのでしょう。夜の歌舞伎町の怪しさがこの作品に顔を出していたならば、15年前にも興味を持った作品だったはずです。


(掲示板掲載 2020年2月21日から3日間)



参考資料 高橋健司著、空の名前(改訂版)、東京:角川書店、2004年
(文中ではソラ資料と表記)