録音日 1959年9月14日(ジャケ記載データの翌々日)
イス ジャケ作品をつまみ食い
つまみ食い前
マンハッタンのミッドタウンにあるタウンホールは、1921年に開業し、約1500人を収容できるホールです。その建物は国定史跡や歴史的建造物に指定されており、ミッドタウンの顔と言える存在です。様々な用途に使われ続けているホールですが、音響特性の素晴らしさから音楽ホールとしても有名なものです。
ここでのニーナ・シモンさんのライブ盤ですが、「つまみ食い」したイスはピアノ椅子ではありません。ピアノ椅子はニーナさんの白く長いガウンによって、ジャケにほとんど写っていません。その代わりではないのですが、ステージ中央後方に立派なダイニング・チェアが置かれています。それは一流ホテルのメインダイニングで使われるような椅子であり、ステージに置かれている理由は、私には想像できません。
本作品を「今日の1枚」で取り上げたのは2004年8月1日のことで、その際にはニーナさんの魅力をやたら長文で書いておりました。また2016年11月には「Summertime が収録されている作品」でつまみ食いし、その曲でのニーナさんの魅力を私は述べておりました。
今日は中央後方の椅子の存在理由を想像しながら、つまみ食いしてみます。
つまみ食い後
重量感がありながら軽やかに流れるピアノ、歌手としての魅力は当然ながら、私が感じるニーナさんの魅力はこのピアノの響きも大きな動因です。そこにはタウンホールの音響効果も手伝っているのでしょう、至高の響きです。
ジャズに限らず私が女性歌手が演奏する楽器の音色に惹かれるのは、ニーナさんのピアノと、ジョニ・ミッチェルの生ギターです。
さてステージにあるイスの存在理由ですが、それは全く掴めないままに終わりました。タウンホールの近くに、ニッカボッカー・ホテルがあります。歴史あるこのホテルの重厚な建物は、タウンホール同様に国立史跡となっています。
ニーナさんは大勝負のこのタウンホールの舞台の前日に、家族をこのニッカボッカー・ホテルに呼んだのでは。そしてメインダイニングで食事をし、楽しい会話をし、その気持ちの延長という意味でそこのイスをステージに用意したのでは。
こんな妄想が浮かんだところで、今回の「つまみ食い」は落ち着いた気持ちで聴き終えました。
(掲示板掲載 2020年3月12日から3日間)
参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)