Diana Krall
All for You

録音日 1995年10月3日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 座るためにあるイスですので、ジャケにも女性がイスに座っている写真が使用されるのですが、その時の女性の衣服によっては御御足が目立つ写真になります。今月の「イス ジャケでつまみ食い」では、そんなジャケ作品を5作品取り上げます。

 今や大御所の風格さえ身につけてきたダイアナ・クラールさんですが、2000年7月19日に「今日の1枚」で取り上げた本作は彼女の3作目であり、また初めての脚ジャケです。弾き語りのクラールさんですので、ピアノ椅子に座ったジャケは必然のものでしょう。そして手と脚を目立たせる構図と色使いも、ジャケ買い需要を睨んでの戦略なのでしょう。

 本作はドラムレスであり、クラールさんの歌をギターとピアノが引き立てていく内容であり、ナット・キング・コール・トリオに捧げている作品です。

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つまみ食い後

 弾き語りのクラールさんに、ギターのラッセル・マローン、そしてベースのポール・ケラーのトリオは、この録音までに1年間活動を共にしてきたそうです。歌にピアノ、歌にギター、これを支えるベースと、息があったものです。

 大人気を博し今でも全米のラジオ曲から必ず何かが放送されているとのナット・キング・コール・トリオですが、そこには2人のナット・キング・コールがいたとか。人気の主役の歌手の姿、そして優れたピアニストとしての姿とのことです。(ライナーノーツより引用)

 クラールさんのピアノは歌の特徴にぴったり合うものです。弾き語りなのだから当然なのでしょうけど、冷静に歌とピアノを見つめられる自分がいなければ、このような妙は生まれないでしょう。落ち着いた曲を12曲、しっとりと楽しめます。

 ピアニストのクラールさんの作品ですから、ジャケの姿は当然なもの。一方で、裏ジャケ、中ジャケに写るクラールさんは、白のスラックスやジーンズで脚を覆っている写真です。表ジャケと比べれば、脚を覆っているクラールさんの表情が自然に感じます。当時の彼女の心境も、何故だか聴き取れたような気がします。


(掲示板掲載 2019年9月12日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)