Connie Evingson
Some Cats Know

録音日 1999年1月3日(年月日は決め打ち)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 アルバム名にもなっている「Some Cats Know」ですが、Jerry Leiber と Mike Stoller が作った曲です。このコンビは、1950年代に「ハウンドドッグ」などヒット曲を連発しました。「Some Cats Know」が作られた時期は分かりませんでしたが、ジャズ分野ではペギー・リーが1975年に制作した「Mirrors」というアルバムに収録されているようです。

 この作品のジャケットでは、切られた部分には、庭用の簡単な食事がとれるテーブルが置いてあるのでしょう。そしてそこには当然ながら椅子があり、コニー・エヴィンソンさんはその椅子に膝を抱えて座っております。風が冷たくなってきた朝、昨夜のことを考えているような視線です。

 私が渋谷ユニオンで本作を手に取ったのは、会議のためにマレーシアから一時帰国していた時期のことでした。廻り合わせで出会ったコニー・エヴィンソンさん、これまで5作品を「今日の1枚」で取り上げましたが、その端緒となった作品を今日はつまみ食いしてみます。

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つまみ食い後

 歌声の魅力はどんな楽器でもかなわない、かつてこんなことを聞いたことがあります。この場合は、歌唱力があるのは当然のことですが、声質自体に魅力があり、それを生かしての表現力がある、ここまで揃っていることが必要です。

 私にとってのコニーさんは、まさにこれが当てはまります。2001年1月24日に「今日の1枚」で取り上げた際には「低音の色気が何とも言えなくセクシーで、人生の辛さと楽しさを早くも悟ったような表現力」と感想を述べましたが、それから20年近く経った今でも、この感想は同じであります。

 そんな彼女が、味のあるギター入りクインテットをバックにスタンダードを歌っているのですから、私にとって本作はかけがえのないの存在です。

その中での「Some Cats Know」ですが、55歳のペギー・リーさんの歌と聴き比べしてみました。猫にいろんな意味合いを持たせている歌だと思いますし、軽くブルージーなこの曲はなかなかのものです。そんな歌をペギーさんもコニーさんも、表現力豊かに独自の世界で歌っています。庭にいる猫の仕草が、両者の歌で異なって頭に浮かぶところは、巧者のお二人だなと唸った次第です。


(掲示板掲載 2020年7月18日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)