Crescent (John Coltrane) (10分8秒)
【この曲、この演奏】
手元の辞書によればクレッセントとは、三日月、(イスラム教の象徴としての)三日月、カーブした街路、との意味とのことです。また三日月から派生してクロワッサンを指すこともあるとのことです。さらには、しだいに大きくなる、こととの意地もあるようです。
この曲のコルトレーンの演奏記録ですが、1966年のライブで数回演奏されています。日本人にはサンケイホールでの演奏が強烈な印象で残っていますが、ライブではごく少ない演奏記録となっています。(資料07)
クレッセント制作の二日間の冒頭の演奏であり、この曲の最初の演奏ですので、コルトレーンをはじめメンバー全員が手探り状態です。これは没テイクというよりは、名盤誕生へ向けての準備運動と考えるべきでしょう。
そう考えると、この演奏に興味深い点がいくつも出てきます。自分の内に向って自分の存在を考えているようなこの曲、このメロディに対して、コルトレーンが悩みながら探究していく姿に心が動きました。そんな姿は他の3人も同様であり、特にマッコイにコルトレーンと同様な姿を聴き取れます。
この演奏は1998年に世に出ました。
【エピソード、本セッション】
この日と6月1日のセッションで、A(S)-66 「Crescent」が制作された。特定のアルバムのためのスタジオ録音という意味では、前年の3月7日の「アンド・ハートマン」以来と言える。
この日には6曲が演奏され、A(S)-66 「Crescent」には3曲が収録された。残りの3曲中2曲は6月1日のセッションでの録音が、A(S)-66 「Crescent」に収録された。この日の演奏された「Song Of Praise」は6月1日には演奏されなかった。
なおこの日の未収録の3曲は、1998年に世に出た。
【ついでにフォト】
2011年 ペナン、マレーシア
(2021年5月15日掲載)