19551116-03

Just Squeeze Me (Ellington-Gaines)
(7分27秒)

【この曲、この演奏】

 資料14によれば、エリントン作曲のこの曲はもともと「Subtle Slough」というタイトルのインストメンタル・ナンバーであったが、1946年に詩がつけられ、タイトルも変わったとのことです。

 そのタイトルには「But Don't Tease Me」との副題がつけられていますが、このマイルス・クインテットの演奏が世に出た際には、副題はクレジットされていませんでした。そしてその演奏は、この曲の代表的な演奏とされています。

 バラッドでのマイルスのミュート・トランペット、彼の活動歴の中に多数の名場面があるわけですが、この曲はその中でもトップ・クラスのものでしょう。「小川のマイルス」の国内盤を買い、最初のこの曲に続けて針を落としていたことを思い出します。マイルスの魔法の後に続くコルトレーンもガーランドも素敵な演奏をしています。しかし揺れる女心を切り取ったようなマイルスとガーランドに比べれば、コルトレーンの演奏は揺れ続ける女心に翻弄されている男のようです。

 タイトルは「ギュッと抱きしめて」、副題は「でもしつこくしないで」、この時期のコルトレーンはこんな女心の表現は厳しかったのでしょう。

 私はこの曲はマイルスは何度も演奏したものとの印象でした。しかし資料08のサイトのマイルスのディスコをみると、ここでの1回限りでした。この日の演奏の印象が強すぎたのでしょうかね。


【エピソード、母親】

 資料05によれば、コルトレーンの母アリス・ガートルード・ブレア(旧姓)は、オペラのアリアを歌ったり、ピアノでクラシック音楽を弾く、大学出の教養のある女性だった。彼女は経験なクリスチャンでもあった。

 コルトレーンが13歳の時に父親が亡くなって以降は、コルトレーンにとって母親の存在がより大きくなり、資料01にはコルトレーンの生涯における母親のエピソードが6ヶ所で登場している。

【ついでにフォト】

19551116-03

2002年、ペナン島


(2019年1月3日掲載)