Just You, Just Me (Klages - Greer)
(9分30秒)
【この曲、この演奏】
これは映画「マリアンヌ」ように作られた曲で、出演していたクリフ・エドワーズが歌って1929年に大ヒットした曲です。レスター・ヤングはこの曲を何度もレコーディングし、コールマン・ホーキンスやパーカーもこの曲を演奏しました。またアル&ズートでも名演を残しています。(資料14)
このセッションに参加した4人のテナー奏者が愛したミュージシャンたちが愛していた曲ですが、コルトレーンの演奏記録はこのセッションだけです。
さて鼻歌でお供したくなるこの曲を、4人のテナー奏者に同じ演奏スペースを与えて進んでいきます。その内容は、モブレー、シムズ、コルトレーン、そしてコーンの順番にガーランド・ソロを挟んで2回のソロ、そして同順で4小節交換6回という仕掛けです。
歌心満載のモブレーとシムズは、オープンカーで春の陽気を感じて走っているような演奏です。コルトレーンとコーンの強いアタックは、風を感じながらオープンカーで走るような演奏です。
4人の個性がしっかりと感じ取れ、かつこの曲の良さがでている演奏でした。
【エピソード、アル・コーンとコルトレーン】
二人の共演はここだけかと思いきや、資料06によれば1957年にベツレヘムへのセッションで2度共演している。
最初は10月録音の「ウィナーズ・サークル」で、ここではアル・コーンはバリトン・サックスを吹いている。
二つ目は12月録音の「アート・ブレイキーズ・ビッグ・バンド」である。
前者はダウン・ビート紙の人気投票で1位或いは2位のジャズマンを集めた演奏、そして後者はブレイキーのセッションのために集められて12人のホーン陣で一緒だった。
この1956年9月のプレスティッジのセッションも、テナー・サックス4本集めて録ってみようかとのものなので、二人のぶつかり合いというセッションとは言えないものだ。
【ついでにフォト】
2005年、香港
(2019年2月7日掲載)