On Green Dolphin Street
(N. Washington - D. Fields) (14分37秒)
【この曲、この演奏】
英仏海峡に面したイギリスの小さな港町での恋物語を描いた同名映画(1947年)の主題歌(資料09)のこの曲、コルトレーンの演奏記録はマイルス・グループのものだけです。1958年5月26日にエヴァンスが加わってのマイルス・グループでスタジオ録音し、そして1960年春のマイルス欧州ツアーでの演奏です。(資料07)
演奏はケリーのピアノがメロディを優しく奏で、ベースがアルコでそれに寄り添い、厳しさが影を潜めている穏やかさを表現しているようです。そんな素敵な1分博の後に、マイルスがミュート・トランペットで、2分半ほど演奏しています。踊っているかのその演奏は、お見事なものです。
その後にはコルトレーンが、自分の世界の中で4分強演奏し、会場を沸かしています。ピアノ・ソロ、アルコ・ベースとシンバルの素敵な2分間があり、再びマイルスの踊るミュートに戻って、演奏は終わっていきます。
Tremaから発売のCD4枚組に記載では、この日のファースト・コンサートはこの曲で終わりとなっています。
【エピソード、1960年春の欧州ツアー】
ノーマン・グランツ主催のJATPツアーが1960年春にあり、19日間 27公演が行われた。出演者はマイルスの他に、オスカー・ピーターソンとスタン・ゲッツが、それぞれのグループで演奏を行った。
欧州各地での事前告知では、マイルスのグループにヴァイヴのバディ・モンゴメリーが参加するとなっていたが、実際にはバディは加わってなかった。Arrigo Polillo氏が「”Una Settimana di Jazz” Musica Jazz」に書いた記事によれば、バディは直前に予定をキャンセルしたとのことだ。理由は飛行機嫌いとのことだ。バディはマイルスのグループで、2月11日から21日までサザーランド・ホテル(シカゴ)、2月27日にはシュライン・オーディトリアム(ロス)に出演していた。
またコルトレーンは、マイルスの元を離れ、この3月には別の計画を立てていたが、結局はこのマイルスの欧州ツアーに参加したようだ。
(資料07)
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2023年5月20日掲載)