2023年8月10日掲載

Miles Davis en Concert avec Europe 1
Trema原盤
1960年3月録音

コルトレーン参加曲解説「今日のコルトレーン」

 マイルス・デイヴィスは1960年の春と秋に、欧州ツアーを行いました。公演を行った都市は同じようなもので、パリでも春と秋にオリンピアでコンサートが行われました。

 ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、そしてジミー・コブは春も秋にも参加しています。そしてサックス奏者は、春はジョン・コルトレーン、秋はソニー・スティットでした。

 1994年に、放送局収録音源でこの春と秋の演奏の模様を収めたブートレグCDが、フランスの Trema から発売されました。収録内容は次の通りです。

1960年3月21日(コルトレーン参加)
Disc 1
All of You
So What
On Green Dolphin Street

Disc 2
Walkin’
Bye Bye Blackbird
Round About midnight
Oleo



The Theme 1960年10月11日(スティット参加)
Disc 3
Walkin’
Autum Leaves
Four
Unidenttified
Round About midnight
No Blues
The Theme

Disc 4
Walkin’
If I Were A Bell
Fran Dance
Two Bass Hit
All Of You
So What
The
Theme

 コルトレーン参加の各曲については、「今日のコルトレーン」をお読みください。

 まずはブートレグとしては音質の良さに、感謝の限りです。そして圧巻の内容に、心が酔いしれます。

 マイルスとしてはコルトレーンと最後の楽旅となった春のツアー、そして短期の参加だったスティットとの秋のツアー、この二つを聴き比べての感想は、聴く人それぞれにあることでしょう。私の感想は多くの方のそれと似たようなものになります。

 春のツアーでは常に新しきものを追い求めているコルトレーンとの共演、秋のツアーでは完成形となっていたスティットとの共演、その中で亡くなるまで「次を」をいつも考えていたマイルスにとって春・秋どちらが自分の求めているものなのかは、明らかなことだったのでしょう。