19570626-05

Off Minor (take 5)  
(Thelonious Monk)    
(5分6秒)



【この曲、この演奏】

 続けてテイク5が演奏されました。

 演奏の構成はテイク4と同様ですが、このテイクの特徴としてはテイク4の良さを踏まえた上で荒々しさが加わっていることと、モンクのソロの後半部にベースとドラムスの活躍場所を設けたことでしょう。比較して聴けばこちらのテイクの方により魅力があり、アルバム「モンクス・ミュージック」に収録され、この年の終盤に発売されました。

 なおこのテイクでも、コルトレーンはソロをとっていません。



【エピソード、本セッション、この日は初めから用意?】

 6月25日と26日の二日間で予定していたアルバム「モンクス・ミュージック」向けセッションは、25日のモンクの病気により、この26日の1日で全てを終わらせることとなった。このことはオリン・キープニュースが1988年に書いた資料18、2006年に書いた資料19に、記述がある。

 「私たちは1晩のうちにアルバム1枚分の録音をやっつけなければならなくなった。私たちはそれを申し分なくやってのけた。このときにはプレッシャーを感じたことが逆に助けになったのだと思う」(資料18)

 「それが(1晩でアルバム1枚の録音)できない場合は、メンバーがそれぞれツアーに出てしまうため、全員がニューヨークに帰ってくるまでかなりの時間がかかることを覚悟しなければならなかった。幸運だったのは、この晩に限って、メンバーが誰ひとり遅れずにスタジオにやってきて、時間内に録音の準備を完了させていたことだ。これは滅多にないことだが、このときはそうだった」(資料19)

 

 しかしながら資料06(1995年発刊)と資料07(2008年発刊)には、次の記述がある。

Session Note
The originally scheduled date was Jun 25, but monk became ill.

 これからすれば25日の1日で終わらすスケジュールが、モンクの病気で1日の順延となったと、解釈できる。

 ジャズ界の「物語」になっているセッションだけに、何かまだ「お話」が眠っているかもしれない。



【ついでにフォト】

tp10010-191

2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア


(2022年1月21日掲載)