Ogunde (John Coltrane) (3分35秒)
【この曲、この演奏】
この曲名の意味を探りましたが、ネット上からも持っている書物からも情報を得られませんでした。それでも、これはスワヒリ語?、或いは英語の「agenda」に関係している? とのような断片的な情報はありました。
資料07よればこの曲は、「Ogunde Varere」の改作だとあります。この元曲は、アフロ - ブラジリアンのスピリチュアルな曲とのことです。またこの元曲には、ブラジルの作曲家 Ernani Braga が作った曲で、歌手 Bidu Sayao が1947年6月に吹き込んだものに由来しているかも、との記述があります。
さて演奏ですが、美しく響くコルトレーン、リズム陣はそっと演奏する中で、バラッドのコルトレーンの美しさがここにあります。
ソロをとれるようになった、プロとして認められた1955年からのコルトレーンの活動で、バラッド演奏における表現が一つの柱でした。この12年の中でいくつものバラッド演奏の名場面を残してきたコルトレーンですが、ここにも一つの頂点を残してくれました。
この曲ですが、4月23日のオラトゥンジ・コンサートでも演奏されました。この時期のコルトレーンの熱を受けていた曲と言えるのでしょう。
【エピソード、日本での記者会見、インタヴューから、その13、最後】
7月9日 東京プリンス・ホテル、コルトレーンの自室
辻本和明氏によるプライヴェート・インタヴュー vol.3
資料17から引用
Q
今現在、将来のプランというモノはお持ちでしょうか? あなたの音楽のテーマとはなんでしょう?
JC
人間には、おのれの完璧な姿、最善なあり方を目標に、成長を遂げるため、この世に生を受けたのだと信じている。少なくともそれが私の目標であり、人間としての宿命だと私は信じている。「自分なりの最善」を日々目指す成長過程で(もし私が成長しているなら)それが音楽として表れる。それがいかなるものであろうと、私の最善に向かう姿で、具体的に述べようとは思わない。だが、善が導き出すものは善であるように願い、必ずそうだと承知している。
Q
録音した中で、一番おススメのアルバム、または音楽は何ですか?
JC
それはまだ録音されていないよ(笑)。レコーディングには何かと制限があるから。
Q
日本滞在中、特に行ってみたい所、ご覧になりたいものは?
JC 時間があればお寺を見てまわりたい。それと日本の音楽を聴いてみたい、伝統的な。例えば、あの楽器、コティとか。
Q
琴ですね。
JC
そうそう、あれを聴いてみたい。都会を離れ、昔ながらの暮らしをを見てみたいな。
Q
ローランド・カークが来日した時、名古屋チャルメラを買っていました。オーボエみたいな楽器です。
JC
楽器店も覗いてみたいね、なにか見つかるかも。
Q
日本のモダン・ジャズ・ファンに一言お願いします。
JC
(笑いながら)ハロー、サンキュー。日本に来られて嬉しい。お会いして、皆さんに演奏できるのを楽しみにしていいます。
Q
本当にありがとうございました。素晴らしいインタヴューになりました、ミスター・ジョン・コルトレーン。
JC
こちらこそ、どうもありがとう。
【少し中断の後、日常会話的な部分】
Q
肉よりも野菜がお好きだと伺って驚きました。
JC
ああ、それと果物もね。
Q
ベジタリアンなのですね!
JC
ええ、そうです。
Q
野菜だけで、どうやってその体力を維持して行けるんですか? 何故、ベジタリアンになったのですか?
JC
なによりもスピリチュアルな理由です。(野菜を食べると)穏やかな人間に慣れるから。イライラしなくなる。だからといって、皆さんがそうなれるかどうかは分かりませんよ(笑)。自分経験からわかったことですから。今は衝動や感情を抑えられるようになり、ストレスが減りました。体も肉を消化する労力が省けて、エネルギーが増えましたよ。
Q
それが素晴らしい! わたしは痩せすぎかな?
(両者:笑)
JC
じゃあミルクセーキでも飲んだらどうですか? (両者:笑) あなたのように痩せたいです。わたしはちょっと太り過ぎですから。
【フェイドアウト】
【ついでにフォト】
2007年 ロッテルダム、オランダ
(2021年11月13日掲載)