Seraphic Light (John Coltrane) (8分51秒)
【この曲、この演奏】
辞書によれば「Seraph」とは熾天使、セラピムのことであり、天使9階級中の最高位とのことです。この曲の名は「熾天使の光」との意味です。アリスが名付けた曲名ですので、この「熾天使の光」を意識して聴く必要はないのですが、一応は気になります。
この曲の演奏記録は、本セッションだけです。
この時期のコルトレーンの特徴を表した内容であり、厳かな流れの曲であり演奏です。
30秒ほどのアリのドラムが厳かさの序曲となり、コルトレーンのテナーによる3分強のテーマに入ります。ギャリソンのアルコが印象的な中でコルトレーンがテーマを奏で、半分ほどでコルトレーンはテナーの限界に挑むかの高音を絞り出し、その後はテーマとアドリブの交差となります。2分ほどのアリスのピアノを挟み再び登場したコルトレーンは、アドリブからテーマへと演奏していきます。
聴き終えてみると、アリのドラムが全体を支配していたかの印象が残ります。聴くたびに思うことではありませんが、今回はアリのドラム・ソロに、コルトレーンたち三人が寄り添った演奏、そんな印象が残りました。
【エピソード、本セッション】
1967年のコルトレーンのスタジオ・セッションは7回あるが、2月と3月に行われた5回のスタジオ・セッションにはファラオは参加していない。これはスケジュールの都合なのか、コルトレーンの考えなのか、ファラオの意思なのかは定かでない。
この日には8曲が録音され、全てがコルトレーン作である。また全ての曲名はアリスが名付けた(資料07)とのことだが、コルトレーンの生前なのか死後なのかは定かでない。
この8曲の中で、「Offering」はこの年の9月に発売されたらしいアルバム「エクスプレッション」に収録された。他の7曲、10テイクは1995年秋にアルバム「ステラー・リジョンズ」として発売された。
なお資料07によれば、「Stellar Regions」と「Seraphic Light」については、他の曲名での扱いもあったようだ。
【ついでにフォト】
2014年 みなとみらい
(2021年10月12日掲載)