19660722-03

Meditation/Leo (John Coltrane)
                      (44分37秒)



【この曲、この演奏】

 資料09には次のように紹介されています。

 主たるパートは Leo で占められており、イントロダクションとして Meditation からのテーマが使われている。ここで何と言っても大きな意味を持っているのは、コルトレーンとサンダースが、二人揃ってアルト・サックスをプレイしていることだ。来日後にヤマハから寄贈された新品のアルト・サックスをこの日はじめてステージに持ち込み、素晴らしいアルト・バトルを聴かせている。


 アルトの二人で演奏が始まり、リズム陣が入り、混沌の世界に突入します。2分過ぎからが、コルトレーンとファラオが交互にソロを取っていき、16分半に及ぶ二人のアルトの世界が繰り広げられます。

 そのアルトの演奏ですが、二人ともにまだ自分のものにはしていないようです。テナーでの演奏では、その響きで二人の違いがわかるのですけど、このアルトではまだまだ音という意味では二人とも手探りにようです。しかしながらそのフレージングには、二人の個性があるものです。

 アルト合戦の後は、ラシードのドラム・ソロとなり12分続きます。8分半は一人での演奏、その後の3分半はコルトレーンのアルトとのデュオとなります。

 そして8分弱のリズム陣のぶつかり合いがあり、最後のコルトレーンによる8分以上の演奏となります。後半はファラオも加わり、激しい演奏はクライマックスを迎え、この日の最後の演奏を終えていきます。


 大拍手の中で、「ついに2時間10分の大熱演、みなさんお疲れ・・・」とのアナウンスが流れます。コルトレーン・バンドの5人は勿論のこと、、スタッフや録音技師、そして観客も心地よい疲れを感じていたことでしょう。



【エピソード、関係者の発言】

 トレーンは聖者ではなかった。彼はただの人間だった。彼を聖者と呼ぶ人もいるかもしれない。だが僕にとって彼はあくまで人間である。ぼくが一緒に仕事をした中で、最も素晴らしい人間である。
ラシード・アリ


 コルトレーンについてまず印象的だったのは、ホテルの部屋で会った時、彼が飾り気のないシャツ姿で、裸足に革のサンダルをつっかけていたことだ。 コルトレーンの演奏を聴いて、私はそのテクニックとサウンドに圧倒された。彼が最後の一人にまで何かを伝えようとしてみせた熱意と献身、懸命に時間をも忘れてプレイしたその姿を私は生涯忘れることができない。彼は今まで私が聴いたどのミュージシャンより、献身的な人間だと思う。
児山紀芳


 ジョンは初日のコンサートが終わったあとで、サインを山のようにしました。私たちが、車に乗り込んだ時、一人の少年が掛けて来ました。運転手はかまわず車を走らせました。しばらく走ってあとを見ると、少年はまだ掛けています。二〇分ほどたって、私たちはホテルの部屋で休んでいました。ドアにノックの音がしました。そこにいたのはあの少年でした。彼はここまでずっと駆けてきたのです。少年は数キロの道を一人で駆けて、ジョンのサインを貰いに私たちの部屋まできたのです。
アリス・コルトレーン

(全て資料01より)



【ついでにフォト】

tp13001-067

2013年 ペナン、マレーシア


(2021年9月24日掲載)