Crescent (John Coltrane) (54分18秒)
【この曲、この演奏】
1964年にコルトレーンが残した二つの名盤の一つ「クレッセント」、そこに収録されたタイトル曲が録音されたのは1964年6月1日のことでした。そこでの深遠な演奏時間は、9分弱でした。1966年に入りコルトレーンはこの曲をライブで取り上げるようになりました。その演奏が聴けるるのは、この日のサンケイホールでの演奏と、この年の11月11日のテンプル大学での演奏の二つです。ちなみにテンプル大学での演奏は30分弱のものです。
さて演奏ですが、実に壮絶な「クレッセント」です。まずはギャリソンのベース独奏が13分間続きます。ピッチカートで始まり、半分ほどしてからアルコとピッチカートを交互に繰り返していきます。独走の最終盤で拍手が起きますので、メンバーがステージに登場してきたのかと思います。
コルトレーンの5分半ほどのテーマ演奏となりますが、美しく深淵なバラッドの世界であります。それが途中からは荒々しさを増していき、そのクライマックスでファラオのソロに移っていきます。ファラオのソロは14分強であり、彼らしいこの曲の解釈が聴けます。その後に12分弱のアリスのソロとなりますが、ここではリズム陣3人のぶつかり合いというべき演奏です。そしてコルトレーンのソロとなり、途中からファラオが参戦し、コルトレーンによる4分ほどの後テーマとなります。
この「クレッセント」の演奏自体は53分18秒、司会が「ジョン・コルトレーン」と2回叫び、「レオ」とされているクロージングが1分演奏され、この日の演奏は終わりとなりました。
【エピソード、訪日公演をすぐに承諾】
ショー・エイジェンシーが、一九六六年の七月に日本へ演奏旅行する気があるかどうかを尋ねた時、ジョン・コルトレーンの返事は「はい」だった。彼にとっての日本への演奏旅行は、彼が日本のファンの前で演奏できるということばかりではなく、アメリカにいて本を読むだけでは、決して味わうことのできない何か、つまり彼の東洋研究を本場で追求するチャンスだったのだ。
とはいえ、コルトレーンが、日本での演奏日程を事前に知っていたら、彼はおそらく心変わりしたに違いない。(資料01より)
この文面からすれば、欧州での飛行移動の連続の演奏旅行を何度も行なってきたコルトレーンとしても、この日本での日程は厳しいものであったのだろう。
【ついでにフォト】
2004年 香港
(2021年9月21日掲載)