19660528-01

My Favorite Things
(R.Rodgers - O.Hammerstein) 
(26分27秒)



【この曲、この演奏】

 資料07の記録にある限りでは、この日には2曲演奏したことになっており、共にコルトレーン・ライブでの定番曲です。そして最初に演奏されたのは、この「マイ・フェイヴァリット・シングス」でした。

 さて演奏ですが、まずは6分8秒のベース独奏からの開始となります。ピッチカートでのギャリソンの演奏ですが、会場からの音はなく、観客が聴き入っていることがうかがえます。なおライブ・アルバムではこの独奏を「Introduction To My Favorite Things」との曲名にしていますが、これはA面とB面に分かれての収録となるための便宜上の措置でしょう。

 ギャリソンのベースがリズムを取り始め、グループでの演奏に入っていきます。ここでの20分間はソプラノのコルトレーン、テナーでのファラオの二人舞台であり、ピアノを含めてリズム陣によるソロ・スペースはありません。

 コルトレーンとファラオによるそれぞれの長尺ソロ、そして二人の表現方法の違いとぶつかり合いを楽しみながら、演奏時間の長さを感じさせないところはさすがであります。

 テーマがなかなか登場しないところも、この時期でのこの曲の演奏の形となっているところです。



【エピソード、このセッション】

 インパルス!時代には幾つもの公式ライブ盤があるコルトレーンだが、ジャズ祭などではなくコルトレーンの単独ライブで、しかもインパルス!自体がが録音に臨んだライブとしては、これが1961年11月以来の、5年ぶりの二度目となる。場所は同じヴィレッジ・ヴァンガードである。

 1961年はドルフィー入りであったが、この1966年はこの年の1月末からの新バンドでのライブとなり、そこにパーカション担当が一人加わっている。

 このライブはこの1966年の11月に、アルバム「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」として発売された。そのジャケットに「Engineer ; Rudy Van Gelder」との記載があるので、5年前と同様にヴァン・ゲルダーの手による録音なのであろう。しかしながら、私が参考にしている各資料には、この1966年のヴァン・ゲルダーの発言が掲載されていない。ヴァン・ゲルダー自身が1961年と同様にヴィレッジ・ヴァンガードに機材を持ち込み、マイクなどのセッティングを行い録音を行なったのかには、少しの疑問を私は持っている。

 なおヴィレッジ・ヴァンガードへの出演は5月20日から22日、そして27日から29日であり、夜の9時からの演奏であった。日曜日にはさらに昼興行があり、それは午後4時30分からだった。またこの年の6月にもコルトレーン・バンドは、ヴィレッジ・ヴァンガードに出演している。(資料07)



【ついでにフォト】

tp10020-087

2010年 ペナン、マレーシア


(2021年9月17日掲載)