Manifestation (John Coltrane) (11分36秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーン作のこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。
演奏開始箇所はカットされていると思いますが、いきなりコルトレーンのテナーによる叫びの連続から入ります。1分20秒あたりからファラオがピッコロで加わり、コルトレーンのテナーとの掛け合いを続け、やがてファラオのピッコロでのソロとなります。このソロが3分弱続いたところでアリスが登場し、川に激流のようなソロを3分弱披露します。そしてコルトレーンのテナーが再び登場し、ファラオのテナーも絡み、熱い二人の演奏が続き、それを堪能したところで演奏が終わっていきます。
全体と通してですが、コルトレーンも加わっているという打楽器がリズム陣に不思議な効果を与えています。気になるのは正規スタジオ録音とは思えない音質です。
コルトレーンの思いとは違ってエルヴィンが去り、新たなグループとなり、ジャズ・ワークショップで数日間演奏し、その熱をどうしても記録に残したく、この日のスタジオ入りとなったのではと、私は推測します。その中で何かの問題があり、音質は満足できないものになったのでしょう。
この演奏は1968年にアルバム「コズミック・ミュージック」に収録されて、発売されました。
【エピソード、本セッション】
コルトレーンは1966年に入ると、1月25日から2月6日まで、サンフランシスコにあるジャズ・ワークショップに出演していた。そこでのメンバーであるがマッコイ・タイナーの名前は既になく、エルヴィン・ジョーンズも最初の数日に出演しただけであった。このライブ出演のメンバーであるが、基本はこの2月2日のスタジオ録音と同じであり、ドナルド・ギャレットがライブに出ていたようだ。このジャズ・ワークショップでのライブに関しては、その音源は確認されていない。(資料07)
この2月2日には4曲が収録された。「Manifestation」と「Reverend King」は、この日の演奏のままで1968年にアルバム「コズミック・ミュージック」に収録されて発売された。そして「Peace on Earth」と「Leo」はアリス・コルトレーンによってストリングスがオーバーダブされ違う姿となり、1972年に世に出た。なお「Peace on Earth」についてはストリングスを被せていない形で1978年に世に出たが、ピアノとベースはこの2月2日の演奏とは違ったものになっている。(資料07)
なおこの日の録音スタジオであるが、1965年9月22日と同じ、サン・フランシスコにあるコースト・レコーズであった。
【ついでにフォト】
2010年 ペナン、マレーシア、タイプーサム
(2021年9月14日掲載)