19651002-02.03

A Love Supreme,
Part2, Resolution (John Coltrane)
(-02 2分28秒、-03 11分5秒)



【この曲、この演奏】

 各パートを繋ぐかのように、各パート間にベースやドラムでの演奏があります。

Part1から続く「間奏1」はベース二人によるもので、その終盤にドラムが入り、このパート2「決意」に続いていきます。

 コルトレーンがテーマを吹き始めてPart2が始まり、短いアドリブを挟みながら再びテーマを吹くコルトレーンの後に登場するのは、ブックレットの解説によればアルト・サックスのカルロス・ワードです。リズム陣の好バッキングを得たワードは、5分間の入魂演奏を行っています。まだまだ吹き続けたい様子が伝わってくるワードのソロですが、6分40秒のところでコルトレーンのテナーが再び登場します。凄みのコルトレーンのソロが続き、10分あたりからテーマとなり、エンディングへと移り、エルヴィンのドラムによて次の展開に続いていきます。

 ファラオのサックスは確認できませんでしたので、コルトレーンはこのカルロス・ワードの可能性を試したのかもしれません。



【エピソード、テープ発見の経緯】

 国内版CD「A Love Supreme, Live In Seattle」のブックレットにある、藤岡靖洋氏によるこのテープ発見の経緯について、引用する。

 先ず鍵となる人物は、コルトレーンの友人ジョー・ブラジルである。ブラジルはデトロイトの自宅にスタジオを構えており、コルトレーンはそこで1958年9月25日にセッションを行っており、この「今日のコルトレーン」でも何度か触れてきた。

アルト・サックスを吹くジョー・ブラジルは、コルトレーンがシアトルのペントハウス出演中に、ここに自分も出演していた。コルトレーンのステージでも演奏し、10月1日の「オム」のセッションにもフルートで参加している。この10月2日は昼の部でブラジルが演奏し、夜の部のコルトレーンの演奏を録音する準備を行っていたのだ。

 2008年にジョー・ブラジルは亡くなった後は、奥様がそのテープを含む22本のテープを保管していた。そのことをシアトル在住のスティーヴ・グリッグスは知っており、その情報がプロデューサーとして活躍しているセヴ・フェルドマンに渡り、藤岡氏の知るところになった。2016年3月に藤岡氏はそのテープを確認した。

つまり発見から発売まで5年の歳月がかかったのである。その間にもヴァーヴ/インパルス!は、いくつもの「発掘」を発売してきた。その全てに藤岡氏が関わっており、発売イヴェントなどでこのシアトルの件を話せないことが大変だっとしている。

 とすると、まだまだ藤岡氏を含む関係者だけが知っている、世に出ていない「発掘」がまだまだあるのかもしれない。また今回のジョー・ブラジル氏の件のように、眠っている”テープ”があることであろう。

 この「今日のコルトレーン」で私は何度も「世に出ることを願っている」と書いてきた。この「シアトルの至上の愛」に接したことで、それらが世に出る可能性はあるのだと思いがより強くなった。



【ついでにフォト】

tp06002-117

2006年 香港 維多利亞港 遊艇航行


(2021年10月30日掲載)